知る・学ぶ/コラムヒガシマル醤油 、「東」から始まる都内全駅に広告掲出
駅広告
2025.01.09
ヒガシマル醤油㈱(本社兵庫、竹内宏平社長)は11月18日~12月1日、東京都内の「東(ヒガシ)」から始まる名称の全28駅に、駅ごとに全て異なるビジュアルとコピーのポスターを展開した。
これは、同社の看板商品「うどんスープ」の60周年を盛り上げるべく、さらなる関東でのファン化に取り組む「ヒガシマルは東にハマりたい」作戦の一環。「うどんスープ」は、年間販売数2億食(同社調べ)を突破し、特に関西で支持されているが、関東での販売食数は全体の約18%。そこで、「ヒガシマルは東にハマりたい」というメッセージによって、関東における認知度アップ、商品の自分ゴト化を目指した。
広告ビジュアルでは、社名「ヒガシマル」にちなみ、東京都内の「東(ヒガシ)」から始まる名称の全28駅周辺エリアに、長年CMで活躍しているキャラクターたちを出張に送り出した。西は埼玉目前の「東青梅」駅、東はあと10kmほどで千葉という立地の「東大島」駅まで、キャラたちが各エリアならではのモチーフを取り入れたご当地バージョンに変身し、ポスターなどに登場。それぞれの駅ごとにその駅を利用している人なら分かるモチーフの衣装に、うどんスープのキャラたちが着替えている。口先だけで「東◯◯推し」と言うのではなく、本気でそのエリアにハマろうとしている姿勢を見せるために全駅ビジュアルを変更した。
また、大阪・西梅田駅ではキャラたちが関西から東京へ旅立つ様子を、東京駅ではキャラたちが東京へ到着した様子をポスターなどに描いた。
広告枠がない東尾久三丁目停留所と東福生駅は、駅に最も近く常設できる電柱広告に掲出することで、「東」に懸ける強い本気度をアピール。電柱も駅付近の候補が複数あり、現地まで出向きどの電柱が良いか選んだという。
電柱以外の広告枠も、事前にODMメディアプランナーと入念な打ち合わせを行い、全ての駅で同時期に広告掲出ができるよう、場所によっては1週分多く枠取りを行うなどして調整を行った。
さらに、総移動距離が約210km、所要時間が約17時間半(推定)の広域なポスター類の掲出エリアを巡る、デジタルスタンプラリーも同時開催。全てのスタンプを集めると、抽選でオリジナルバスタオルをプレゼントするなど、徹底的に「東」に狙いを絞った地域密着作戦を展開した。
結果、直接広告物を見た人も、見ていない人もSNSで企画を楽しめた施策として成果を得られた。Xでは2週間で「ヒガシマルは東にハマりたい」と書かれた投稿が2100投稿、「ヒガシマル」と書かれた投稿は9551投稿行われた(前週比310%)。スタンプラリーに参加したという投稿もあった。また、直接広告物を見に行き、駅で撮影した投稿もあり、その地域ならではのコメントに盛り上がる様子も見られた。
企画は㈱博報堂、デザインは㈱博報堂プロダクツ、シート出力は㈱博報堂DYアウトドアが担当した。
同社は昨年、都営大江戸線六本木駅で、「関西人なら歌える広告」を掲出。これは、ホームから改札までに至るエスカレーターを進むごとに歌詞が進み、「うどんスープ」 CMソングを知っている人ならばつい口ずさみたくなるというもので、Xでは111万表示された投稿もあるなど話題化に成功した。
同社担当者は「昨年の施策は別の代理店が手掛け、非常に好事例として見ていたが、一点だけもったいなかったのがどうしても発話の中心が既存ヒガシマルファンになってしまうという構造だった。今回はいかにして既存ファン以外が発話したくなる構造をつくるかが大事」だと考えた。その際、「東久留米」駅で降りる機会があり、駅に貼られている広告群を見て、「東がつく駅ごとにその駅を利用している人だけに分かる広告を展開すれば、(ヒガシマルファンでなくても)確実に注目してくれる。大きな発話はつくれなくても、小さな発話を同時多発的につくることで、結果的にそれが大きな発話を生み出す構造をつくれるのではないか?」と考えたのがきっかけと語った。
※本記事は『総合報道』2024年12月5日号に掲載されたものです