事例コラム 電柱広告ってどう使う?『ちいかわ』事例に学ぶ回遊型OOHのつくり方

屋外広告

2026.02.23

㈱講談社(本社東京、野間省伸社長)は2025年12月25日から、東京都・池袋周辺で『ちいかわ』特製電柱広告を掲出している。これは、ナガノ氏の最新作『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』コミックス最新第8巻発売&重版を記念した新刊プロモーションの一環として実施したもので、新規読者の獲得に加え、既存ファンへのエンゲージメント強化も狙いとしている。都市生活動線に組み込まれたOOHメディアである電柱広告を活用し、回遊性と話題性を高める企画設計とした点が特長だ。

 掲出場所は、昨年オープンした常設体験型施設『ちいかわパーク』がある東京都豊島区東池袋を起点に、無理なく巡れる範囲に分散配置した。電柱広告単体での視認性訴求にとどまらず、ちいかわパーク来場者らが複数地点を巡り、全てのビジュアルやお気に入りのキャラクターを探したくなるよう、“宝探し”の要素を組み込んだ回遊型のOOH施策とした。リアル空間での探索体験を通じて、作品世界への没入感とSNSでの自発的拡散を促す設計となっている。

 アイデアは、同社が㈱東広の木村隆氏に電柱広告の活用について相談した際に着想したもの。一般的に知名度が高く、全国に多数設置され、広範囲に出稿可能である一方、1本1本をじっくり視認されにくいという電柱広告の媒体特性に着目。「短時間接触・低関与」という弱点を逆手に取り、探索行動を前提とした“宝探し”型の体験設計に転換した。

 講談社コミック営業部・渡邊拓也氏は、「電柱広告はサイズや色数など表現面での制約もあるが、むしろ色味がシンプルでちいさくてかわいい『ちいかわ』とは相性が良いと前向きに捉え、デザインした」と話す。
 掲出ビジュアルは、『ちいかわ』『ハチワレ』『うさぎ』などおなじみのキャラクターに加え、同巻『セイレーン編』に登場する『セイレーン』ビジュアルも“レア枠”として設置し、複数地点を巡る動機づけとコレクション性を持たせた。

 制作にあたっては、電柱ごとに足場貫通用の穴があったり、設置高さや電柱の太さによって見え方が異なったりするなど、現地条件のばらつきが課題だった。これに対し、視認距離や歩行動線を踏まえ、サイズ感や配置バランスを調整。遠目でも認識でき、かつ近づいた際に「かわいく見える」デザインを探りながら仕上げたという。

 電柱広告掲出後、前巻比107.9%の売上(講談社調べ/7巻比・通常版+特装版・売上金額ベース)、公式アカウントで約25万インプレッションを達成。リーチ型メディアとしての電柱広告に、回遊・探索という行動喚起要素を組み合わせたOOHの活用モデルといえる。

 

※本記事は『総合報道』2026年2月5日号に掲載されたものです

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