事例コラム 訪日客の心をつかむ!講談社が仕掛ける、漫画で伝える駅広告「MANGA MANNERS」の全貌
駅広告
2025.06.23
㈱講談社(本社東京、野間省伸社長)は4月24日から6月30㈪日まで、同社の漫画17作品のキャラクターによる広告「MANGA MANNERS」を、JR東海の東京駅・品川駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅で展開している。

広告内容は、日常生活やレストラン、公共交通機関で役立つ、日本を快適に旅するためのマナーを、海外でも有名な漫画のカットに添えることで楽しく理解できるようにしたもの。例えば『AKIRA』の主人公・金田がバイクに乗っているカットには「日本では、車両は左側通行です」、『将太の寿司』の主人公・将太が寿司を食べるカットには「寿司は手で食べてもOKです」─など、キャラの行動に関連づけ、日本の様々なルールや食事作法、文化が解説されている。
この企画の前身は、2024年10月、成田空港第2ターミナルの入国審査場前に掲出された巨大ウェルカムウォール。講談社リブランディングの一環として、ロゴやパーパスのグローバル化を図る中、インバウンドへのアピールも兼ねた同所への広告掲出が立案されていた。
社内では、外国籍社員にもヒアリングし「日本で生活する上で知っておきたかったこと」に着目。イラストで分かりやすく伝えることができる漫画という媒体を活用し、「おもしろくて、ためになる」という自社の社是を反映したクリエーティブが完成した。
ウェルカムウォールは観光客からの好評のみならず、日本人ファンからも日常で見られる場所への掲出を望む声が多く挙がったという。

第2弾となった今回の広告展開は、大阪・関西万博の開催に伴い、東海道新幹線駅への掲出が決定。同社はJR東海と協議し、鉄道利用時に活用できるマナー6種類を追加するなど、内容もパワーアップさせた。
漫画作品は、海外ビジネスを担う部署とも相談し知名度の高いものを中心に選定。年齢層が偏らないように連載終了・連載中、ジャンルなどにも考慮し、かつマナーとの組み合わせも大事に選び抜いたという。
「掲出媒体にもよるが、広告には『WELCOME TO JAPAN, THE LAND OF MANGA AND STORIES』という一文を添えた。当社が長年指針としてきた『おもしろくて、ためになる』を最大限に生かした今回の広告を通して、『物語の国』に来ていただいたことも実感してもらえればと思った」。(担当者)
広告掲出後は、一般のSNS投稿だけでなく、施工作業中の時点で写真撮影を希望されたり、公演のために来日した海外アーティストが『寄生獣』のカットと撮影した写真をInstagramに投稿したり、注目度の高さが伺える反響が報告された。
「第1弾より多くの場所に掲出したことで、読者との接点が増えた」と担当者は実感を語る。




※本記事は『総合報道』2025年6月15日号に掲載されたものです