事例コラム 【2025年最新】新設&進化するデジタルサイネージ媒体まとめ─駅・都市・商業施設に広がる次世代OOH

屋外広告

2025.06.23

駅や繁華街、複合施設などを中心に設置されることの多いデジタルサイネージ――。企業の広告はもちろん、公共の情報発信の場としても利用され、また技術向上により形状や配信方法が日々進化を見せ、注目が尽きない。今号では業界展示会を控え、さらなる盛り上がりを見せるデジタルサイネージの新設・新プランなどの直近のニュースを掲載する。

渋谷メガウォール&シリンダーサイドビジョン

SHIBUYA109の真横という好立地

 ㈱京王エージェンシー(本社東京、岡村達矢社長)と㈱シブヤテレビジョン(本社東京、鈴木眞巨社長)は、京王エージェンシーが運営する大型屋外ビジョン「KEIO MIRARERU VISION(ケイオウミラレルビジョン)渋谷メガウォール」と、シブヤテレビジョンが運営する大型屋外ビジョン「シリンダーサイドビジョン」との同時放映サービスを5月19日より行い、放映枠の販売を開始すると発表した。
 このサービスの提供により、シリンダーサイドビジョンから流れる音声・映像と、渋谷メガウォールから流れる縦型映像と合わせた、よりインパクトある同時広告放映が可能となった。
 若者文化の中心地であり、渋谷駅からアクセスが良い道玄坂と文化村通りの交差点で、SNS世代訴求に適した広告展開を提供していく方針だ。

 詳細は下記の通り。
▽媒体名/渋谷道玄坂下ビジョン セット放映企画
▽サイズ/渋谷メガウォール:78.0㎡(H13.0×W6.0m)
 シリンダーサイドビジョン:17.92㎡(H3.2×W5.6m)
▽音声仕様/渋谷メガウォール:音声出力無し
      シリンダーサイドビジョン:音声出力有り
▽所在地/東京都渋谷区宇田川町 26-3(渋谷サンルイビル)
▽放映時間/午前9時~午前0時
▽掲出料金例/100万円(税別)=15秒×4回/1h/1週間

ららテラス 川口ビジョン

新施設との同時開業で注目度も期待される

三井不動産㈱は5月31日、「三井ショッピングパーク ららテラス川口」のグランドオープンに伴い、建物の西面外壁に大型デジタルサイネージ「ららテラス川口ビジョン」を設置した。

 同施設は、かつてJR川口駅前の象徴的な存在であり、2021年に閉店した「そごう川口店」を再活用している。建物造作、地域を代表する産業といった川口のレガシーを継承しながら、内装および一部外装のリニューアルを行った。
 設置されたサイネージは埼玉県内最大(※)となる幅16.8‌m×高さ9.6‌m(約762インチ)の大型LEDビジョン。埼玉県内有数のターミナル駅であるJR川口駅周辺には多くの人々が行き交い、ペデストリアンデッキからの視認性も十分に期待できる。
 放映時間は毎日午前7時〜午後10時。

放映料金一覧
※25年3月期 指定領域における市場調査/調査期間:日本マーケティングリサーチ機構

大手町タワービジョン

イベントとも今後連動する

 東京建物㈱、㈱読売広告社、㈱プライムプレイスの3社は、大型デジタルサイネージやイベントなどにより、都市空間に付加価値を創出する「空間メディア事業」をスタート。3社による新会社「WonderScape㈱(ワンダースケープ)」を6月2日に設立した。

 新会社は、全国主要都市を中心にした大型サイネージの企画・開発・運営に加え、設置したサイネージと連動したプロモーションイベントなどの展開により、都市空間全体を活用した情報発信を展開していく。
 第1号案件として東京建物が開発・管理運営を行う大規模複合ビル「大手町タワー」内に、大型サイネージ『大手町タワービジョン』の稼働を開始している。設置場所は、広場空間(森のプラザ)に隣接する地下連絡通路上部空間で、サイズは約300インチ。広場空間とサイネージの連動によるプロモーションイベントなどを実施することで、空間全体を活用した情報発信を行っていく考えだ。
 現在、(同)コンデナスト・ジャパン、㈱ヘラルボニーなどの企業広告を放映しているが、自治体とも連動した災害などの情報も発信していく。

 ワンダースケープ代表取締役社長 神保健氏(東京建物㈱取締役 専務執行役員)は、社名への思いや今後の事業戦略について「全国主要都市で当社グループが所有する物件に加え、第三者が所有する物件でも大型サイネージの設置を進め、連動したイベントを展開することで、街のにぎわい創出に貢献していきたい。今後の目標だが、年間5店舗で2030年度までに30カ所、サイネージの投資額は約50億円、売上高約30億円を見込んでいる。場所は首都圏の主要駅や全国主要都市の中心市街地で展開していきたい」と話す。

LINQ VISION

双方向のコミュニケーション機能も(大阪駅)

 JR西日本グループはこのほど、「大阪・関西万博」の開幕を契機に、大阪駅・京都駅・広島駅で新技術を活用した空間演出として、球体LEDビジョン「LINQ VISION」を新設。4月29日から点灯・映像放映を開始した。

 同グループは、大阪駅(うめきたエリア)をイノベーションの実験場「JR WEST LABO」の中心と位置付け、様々なパートナーとの共創や新技術の活用により、新たな価値創造を推進してきた。
 「LINQ VISION」は、球体状にLEDパネルを配置、360度全方位から視認できるのが特長。
 大阪駅には屋外用の球体LEDビジョンでは国内最大級となる直径3m、京都・広島駅は1mをそれぞれ設置。駅空間における空間演出への挑戦を行い、駅空間のプレゼンス向上を図りたい考えだ。
 同ビジョンのオリジナルキャラクターとして、鮮やかな青色と豊かな表情が特長の「Q」が登場。笑ったり、驚いたりするほか、360度様々な方向から現れ、周りを見渡したり、高速回転したりなど球体ならではの動きを演出している。
 5月以降は、来訪者のアクションに応じ、リアクションを示す双方向のコミュニケーション機能の搭載も予定しているという。

 JR西日本は、電車や駅という生活インフラを通じて「人と人、人とモノ、人と時(トキ)」をつなげてきたが、同ビジョンでは、こうしたつながりを映像や体験を通して、さらに拡張していく取り組みの一つ。今後も大阪、京都、広島の3都市を起点に、駅が単なる通過点ではなく、訪れるたびに新発見と感動に出会える場所に代わっていく多彩なコンテンツを展開していく。

 JR大阪駅での「点灯式」は同日午前10時から、時空の広場で開催された。
 冒頭、JR西日本 地域まちづくり本部万博プロジェクト推進室・國見篤志氏は、ビジョンの設置背景や新技術などについて「平面のビジョンでは表現できない立体的で没入感のある映像を投影するほか、インタラクティブにつながるコンテンツも展開予定だ」と説明した。

詳細は下記の通り。
▽設置場所(設置期間は各駅ともに10月13日㈪まで)/
      大阪駅=5階時空の広場、
      京都駅=4階室町小路広場
      広島駅=2階中央アトリウム空間西方
▽ピクセルピッチ/5mm
▽表示発光色数/4兆3980億4651万1104色
▽輝度/4000カンデラ
▽重量/大阪駅=約2200kg、京都・広島駅=約310kg
▽放映スケジュール/1コンテンツを60〜300秒程度、約13コンテンツを放映中

 

※本記事は『総合報道』2025年6月5日号に掲載されたものです

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