知る・学ぶ/コラムmineoの強みを疑似体験できるOOH トイレ広告も活用

駅広告

2024.03.07

オプテージは2022年10月、2023年1月に格安スマホ・SIMブランド「mineo(マイネオ)」の認知獲得を目指し、屋外広告を展開してきた。テレビCMやデジタル中心のプロモーションから一転、OOHを基軸に話題化を試みた理由とは。

通信速度制限がかかる「ギガ死」

新宿駅に掲出された「月末の叫び」広告。

新宿駅に掲出された「月末の叫び」広告。サイネージの動画は実際にTikTokで話題の美容師が出演し、イメチェン動画を撮影するなど、リアルさを追求した。撮影もスマホで実施したという。

オプテージが運営する「mineo」は、余ったパケットを全国のユーザー同士でシェアして助け合える「フリタンク」をはじめ、多くの独自サービスを提供している。今回、mineoならではの魅力を伝えることを目的とし、新たにOOHを使ったプロモーションを展開した。テレビCMWeb動画などとは一味違う、OOHだからこそできるクリエイティブを起点としたSNSでの話題化を目指した。
 
第一弾として202210月には、月末までにデータ容量を使い切り、通信速度制限がかかってしまった状態である「ギガ死」に着目し、「月末の叫び」をテーマに新宿駅にサイネージ動画を展開した。「ギガ死したときに復活できるサービスがあることや、その良さを理解してもらうためには、まずギガ死を体験してもらうことが必要だと考えました」(人間 プランナー/ディレクター 岡シャニカマさん)。
 
この映像では、通信速度の低下によって、続きが気になる展開の場面でローディングが入り、動画が止まってしまう「ギガ死」を疑似体験できる。メインターゲットは、少ない通信量で契約をしていることが多い学生などの若者たち。サイネージで流したのは、TikTokなどで話題の動画を模したもので、共感を誘った。サイネージの動画を止めて事件性を感じる空間にしてみたり、縦長のサイネージでスマホらしさを表現したりした。
 
「映像監督の山本ヨシヒコさんとTikTok上のあるあるを研究して、動画内にも小ネタをたくさん仕込みました。映像内のセットや出演者にもこだわり、リアルさを追求しています。何をすれば話題になり、何に共感してもらえるか、見る人にとっての驚きや発見を重視しました」(人間 クリエイティブディレクター 山根シボルさん)。

「我慢している人が多い」トイレを活用

池袋駅に掲出されたトイレ広告「スッキリいこう。」
池袋駅に掲出されたトイレ広告「スッキリいこう。」

池袋駅に掲出されたトイレ広告「スッキリいこう。」。トイレの中だけでなく、トイレ外の改札付近に掲出することで、トイレを利用しない人の目にも留まり、写真も撮影しやすい工夫が。

第二弾となる20231月には、東武東上線池袋駅のトイレを広告媒体として活用した。スマホの通信速度制限がかかり、画面を読み込んでいる時間を我慢している状態と考え、「mineo我慢させない通信キャリア」だと言い換えた。
 
トイレを掲出スペースとして選んだのは「我慢している人が一番多いのは、トイレではないか」という発想から。ただしトイレの中は撮影しづらく、SNS上での話題化が難しくなることが予想された。そこでトイレの外にある駅のサインボードも活用。コピーは「スッキリいこう。もうギガでガマンしない通信キャリアmineo」とし、トイレにかけたメッセージを届けている。
 
公共のトイレ空間ならではのクリエイティブの工夫も。トイレに並んでいる(=我慢している)人が見る個室の扉を、スマホの画面に見立てて、外側には“ローディング中”のマークと文字を、内側にはmineoのサービスについてのメッセージを掲出した。「実は個室の中のポスターにも、うっすらローディングマークがあって、この部分は扉の中と外で反転している仕様になっています。2つのポスターが連動していることが伝わるデザインにしました」(人間 デザイナー 松尾聡さん)。
 
第一弾と第二弾のはざまにあたる202211月には新聞広告も展開。「ネット広告がギガ消費のうち4割を占めている」というデータ(オプテージ調べ)から「新聞広告はギガを消費しない広告」と打ち出した。今後も一貫して、メディア特性を活かしたメッセージの開発を継続していきたいと考えている。

11月に掲載された新聞広告。

11月に掲載された新聞広告。「広告でギガを4割消費している」ということにかけて、広告の4割を猫の写真で埋めた。

 

※本記事は月刊『ブレーン』2023年4月号に掲載されたものです。

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