ナレッジコラム 応援広告市場は1283億円に拡大|jeki「推し活・応援広告調査2025」
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2026.04.23
㈱ジェイアール東日本企画(jeki、本社東京、石川明彦社長)の運営する応援広告事務局(Cheering AD)は3月12日、推し活の実態と応援広告の浸透状況を把握するための「推し活・応援広告調査2025」の結果を発表した。この調査は今回で4年連続。推しを応援するファンが掲出する「応援広告」の広がりと、その背景にある生活者の行動変化を分析したものだ。調査では、推しがある人の58.9%が直近3年で新しいことに挑戦しており、推しがない層の約2.2倍に達することが判明。さらにファンの熱量が形となった応援広告のポテンシャル市場は1283億円規模にまで拡大していると推計され、個人の「応援したい」という思いが新たな経済循環を生み出しつつある実態が浮かび上がった。
「複数推し」を約6割が楽しむ時代に
まず、推し活の基本的な状況を見ると、「推し」がある人は全体の28.4%。さらに、その約6割が「2個以上の推しがある」と回答した。15〜29歳では平均3.2個、30代〜60代でも平均2個と、複数の推しを同時に応援するスタイルが広がっている。推しへの向き合い方については、「推し活は趣味の1つとして無理せず楽しみたい」と答えた人が76.0%に達した。
こうした結果から、特定の対象に強くのめり込むというよりも、複数の推しを自分のペースで応援しながら日常を豊かにするというスタイルが世代を問わず定着しつつあるとみられる。
推しがある人は約2倍新しい挑戦を
推しの存在は、生活者の行動にも影響を与えている。直近3年以内に新しい活動を始めた割合は、推しがない人が26.6%だったのに対し、推しがある人は58.9%と約2.2倍。挑戦した項目数も平均2.7個で、推しがない層の1.7個を上回る。
挑戦の内容は、貯金や片付けといった生活習慣の改善から、写真・映像撮影、語学の勉強、デザインや動画編集などのクリエイティブスキルの習得まで多岐にわたる。「もっと応援したい」といった思いが、自己投資やスキル習得の原動力となり、結果として日常をより前向きに変える力となっていることが明らかになった。
推しをきっかけとした挑戦で幸福に
こうした挑戦は、マインド面にもポジティブな変化をもたらしている。推しをきっかけに新しいことに挑戦したファンの73.3%が「自分のことをさらに好きになった」と回答。人生の幸福度(10点満点)で比較すると、推しがない層は平均5.2点だったのに対し、推しをきっかけに挑戦した層では6.4点と高い傾向が見られた。推しの存在は単なる娯楽の対象にとどまらず、自己肯定感や生活満足度を高める要因として機能しているといえる。
「応援」をきっかけに広がる活動領域
こうした推し活の広がりの中、近年特に存在感を高めているのが「応援広告」だ。応援広告とは、ファン有志で費用を出し合い、駅などにお祝いの広告を掲出する方法。韓国発のカルチャーとして広まり、近年日本でも定着してきた。
調査によると、応援広告をきっかけに新しいことを始めた人は97.9%に達し、広告を見るために初めて遠征したファンは44.9%に上った。さらに、グッズ制作や広告制作の知識習得、SNS運用など、応援活動の過程で新たなスキルを身につけるケースもあり、「応援したい」という純粋な動機がファンの行動領域を広げている。
応援広告市場は前年比約1.6倍規模
応援広告の認知も着実に拡大している。首都圏(一都三県)における認知率は、22年の26.1%から25年には32.3%へ上昇。また、ファン1人あたりが「年間に応援目的で出してもよい」と考える金額は前年の2.7万円から3.4万円へと増加し、前年比126.3%となった。
これらの数値をもとに推計した応援広告のポテンシャル市場は1283億円に達し、前年比約1.6倍に成長。
これは国内の交通・屋外広告市場(25年4778億円、電通「日本の広告費」)の約26.9%に相当する規模であり、ファン主体の広告文化が新たな市場として拡大する可能性を示唆している。
応援広告が推し活自体の熱量高める
さらに、応援広告はコンテンツへの支出拡大にもつながっている。実際に応援広告を実施した人の83.5%が「応援広告以外の推し活の費用が増えた」と回答。具体的には、グッズ購入(60.2%)、投げ銭(48.1%)、イベント・ライブ参加(47.6%)などが挙げられ、広告を起点として多様な消費行動が誘発されている。
また、応援広告はファンコミュニティーを活性化させる役割も担う。応援広告を実施した人の75.8%、広告を見た人の74.4%が「ファン同士のつながりが強くなった」と回答しており、広告がファン同士の交流のハブとして機能していることがうかがえる。SNSでの情報共有や現地での写真撮影などを通じて、応援広告は単なる掲出物ではなく、ファン同士が熱量を共有する象徴的な場となっている。

調査概要は下記の通り。
▽手法/インターネットアンケート調査▽期間/25年12月26日~26年1月9日▽エリア/全国▽対象者/15~79歳の男女▽サンプル数/2万2009
※本記事は『総合報道』2026年3月25日号に掲載されたものです
