事例コラム “オバケ中吊り”が話題に|廃棄予定の傘を広告に変えた名鉄のOOH施策

電車広告駅広告

2026.09.08

 ㈱電通名鉄コミュニケーションズ(本社愛知、藤野理之社長)は名古屋鉄道㈱と連携し、6月21日から7月12日まで、名古屋鉄道車内で、遺失物の廃棄予定ビニール傘を活用した「オバケ中吊り」広告をはじめとした『GHOSTrain(ゴーストレイン)』企画を実施—。鉄道会社が抱える忘れ物問題と、社会課題であるプラスチック廃棄を掛け合わせたユニークな中吊り広告として注目された。

 この企画は、中吊り広告の新たな価値創出を目指す「うえむくとうわむくプロジェクト」の第2弾。コロナ禍以降、中吊り広告の出稿が減少する中、2024年に名古屋鉄道から「中吊り広告の価値を高めるアイデアがほしい」と電通名鉄コミュニケーションズが相談を受けてスタートしたもの。第1弾ではロスフラワーを活用した「MORE FLOWER(モアフラワー)」を実施した。今回は、社会問題かつ鉄道会社でも課題となっている「ビニール傘の置き忘れ」に着目した。

 広告には、名古屋鉄道の遺失物として保管され、保管期限を過ぎたため廃棄予定となっていたビニール傘を使用。忘れられた傘を「オバケ」に見立てることで、一方的な注意喚起ではなく、利用者が思わず共感し、忘れ物について考えるきっかけとなる表現を目指した。
 デザインは、老若男女が利用する公共交通機関にふさわしい親しみやすさを重視。恐怖を感じさせずチャーミングになるよう、黒・白・ピンクの3色に絞ったシンプルなビジュアルとし、オバケの表情やキャッチコピーはシールで表現した。透明なビニール素材を生かし、車内のどちら側から見ても顔やメッセージが読めるよう両面にシールを貼付。位置がずれないよう、一点ずつ手作業で仕上げた。
 担当者は「ビニール傘を中吊り広告として活用する前例がなかったため、自分の不要な傘を使って試作と検証を重ねた。ビニールに白色を付ける工程を除き、傘の回収から加工、シール貼りまでほぼ全て手作業で行った」と振り返る。

 このほか6月22日から29日まで、「名鉄名古屋駅」改札内(南改札口付近)に、全25種のオバケステッカーを貼り付けたピールオフ広告を実施。持ち帰った人が傘に貼ることで目印にしてもらうとともに、愛着をもって大切に使うきっかけとして作成した。掲出後、初日の午前10時前には全てのシールがなくなってしまうほど人気だった。
 同企画と併行し、特設サイト、コンセプトムービーを公開している。
 結果、地元テレビ局や新聞各社が相次いで取り上げたほか、SNSでも話題となり好意的な反応が広がった。今後は、企画実施前後での遺失物数の変化などを検証し、施策の効果を分析していく考えだ。

 

※本記事は『総合報道』2025年7月25日号に掲載されたものです

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